あけましておめでとうございます。
名寄の元旦は澄み渡る青空でした。本年はこの青空の様に良い一年であってもらいたいと願います。
私は2005年4月に紋別ひまわり基金法律事務所に赴任しました。以後事務所を奄美、名寄と変わってまいりましたが、続けて弁護士過疎地域と呼ばれる裁判所の支部所在地にて仕事をしてきました。そして今年の4月に支部所在地で仕事をさせてもらうようになってから10周年を迎えることになります。私自身本年で40歳を迎えるということもあり、大きな節目の一年となります。さらに、名寄事務所も本年3月で設立5周年になります。私が支部弁護士として仕事を続けることができたのも、これまで名寄事務所を閉じることなく続けさせていただいたのも、皆様のご支援のおかげです。改めて感謝申し上げる次第です。
本年は支部弁護士としても、名寄事務所としても大きな節目の年になります。当地でこれまでの仕事の集大成と言えるような成果を残していけるよう努めていきたいと思います。
本年もこれまで同様よろしくご支援のほどお願い申し上げます。
しばらく更新を失念していました。失礼しました。
さて前回は弁護士過疎地域ではどういう理由で法律相談がしにくいか,ということを書きましたが,それに対し,どのような対策を取るべきか,ということを考えてみたいと思います。
前回のブログにも書いたように,弁護士が過疎地で利用されにくい要因は,地理的なアクセス障害に加え,心理的なアクセス障害が大きい,ということにあります。
このうち地理的アクセス障害だけであれば,単に地元に出向いて法律相談会を定期的に開催すれば問題ありません。
これについては過払いバブル全盛期であれば,どこぞの東京の大手事務所でも地元で公民館を借りるなどして実施しておりました(これの功罪についてはあえてここでは触れません)。
しかし弁護士の業務,というのが何処までを対象とするのか実は結構分かりにくいものです。
特に前回のブログで書いたように,これまで弁護士と面識も無く,使ったことも無く,裁判所にも行ったことのない人にとっては,
「自分の悩みは弁護士に相談するべきなのだろうか。」「弁護士に何を相談したらいいのだろう」というところに問題があります。
サラ金全盛時代であれば,「サラ金に悩んでいる方は是非弁護士を」とかいえばわかりやすいのでしょうが,
「離婚・相続・高齢者・会社法務・不動産・その他諸々で悩んでいる方は是非法律相談を」といっても「???」です。
また弁護士は「おっかない」「偉そう」とも思われておりますので,なかなか相談に行くのに踏ん切りがつかないものです。
そのためには
①長期的な視野に立って地元の人に弁護士の利用の仕方を知ってもらう
②比較的そういう悩みを持っている人との接点が多い人と多く接点を持つ
③比較的信用される団体(自治体・社会福祉協議会など)と提携して相談を行う。
ということが必要になっていきます。
かつこれらについては単独の弁護士が行うのでは無く,長期的に弁護士会全体として取り組まなくてはなりません。
例えば旭川地裁管内であれば,40以上の弁護士不在自治体がありますが,これを一人の弁護士で前記した活動を行うことは不可能です。
また自治体側としても,一人の弁護士が担当するより公益団体である弁護士会との方が提携するのに障壁が少ないためです。
そのため札幌弁護士会では,現在弁護士不在地域の自治体を頻繁に訪れて法律相談会や定期的な協議会を持つという取り組みを行っており(通称頻回相談),
また旭川弁護士会も今年4月から自治体を定期的に訪問して自治体と提携して法律相談会を開催し,かつその際自治体と協議して,戦略的視点から
弁護士過疎対策を行っていこうと言うことになりました。
正直この取り組みは,住民の皆さんの心理的な障害を取り除くという事から考えないといけません。
ですので,正直住民の方が東京や札幌と同じくらいの意識で弁護士に相談できるようになるにはかなり長い時間がかかると思います。
ただ何とかやっていかないといけないことだと思いますので,ご協力のほどよろしくお願いします。