小学生児童の運転した自転車にはねられて寝たきりの状態になったとして、被害者の家族と保険会社が、児童の母親に損害賠償を求めた訴訟で、本年7月4日神戸地方裁判所が母親に計約9500万円の支払を命じた判決を言い渡したことが各種メディアで報道されております。 判決の事案については報道の限りでしかわかりませんので判決内容の当否自体はここでは書きませんが、一般論として自転車で交通事故を起こした場合も、自動車で事故を起こした場合と同様に高額の損害賠償責任が生じることはありえます。また自転車の場合自動車と違い子どもが乗ることも多いですが、上記判決のように、親権者が子どもが自転車を運転するにあたり必要な監督をしていなかったということで親が損害賠償責任を負うことも十分あり得ます。 また、自転車で交通事故を起こした場合には上記のような民事上の責任だけではなく、重過失致死傷罪等の刑事責任が問われることもありえます。 夏場には北海道でも自転車に乗る方も多く、ロードバイクでロングツーリングを楽しむため北海道を訪れる方も多くいらっしゃいます。ただ自転車は下り坂等では普通自動車並みの速度を出すこともできる危険性をはらんだ乗り物でありますので、交通ルールを守って事故を起こさないようにしていただきたいと思います。以下、自転車を乗るにあたり特に気をつけていただきたいことを書かせていただきます。1 車道通行の際、左側通行の原則を守ること 自転車は「軽車両」として道路交通法の適用があり、原則として車道を通行する必要があります。そして車道を通行する場合には、道路の左側部分を通行しなければならないのはもちろんのこと、道路の左側端によって走る必要があります(道交法17条4項、同18条1項)。 車道を走る場合にも、車道の左側ではなく右側を逆走する自転車もみることがありますが、大変危険な行為なので車道の左側通行の原則を守るようにしてください。2 歩道を通行できる場合でも安全に配慮すること 自転車は原則として車道を走る必要がありますが、道路標識で通行を認めている場合や運転者が児童及び幼児・70歳以上の者など車道通行が危険な場合等については例外として自転車で歩道を通行することができます(道交法63条の4)。ただしこの場合でも、自転車は歩道の車道よりの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げることとなる場合には一時停止する必要があります。 歩道を走る自転車と歩行者の交通事故は特に重大な結果につながりやすいので、歩道を自転車で走る場合には安全に十分配慮すべきです。3 事故を起こした場合に救護義務・報告義務を果たすこと 万が一自転車で交通事故を起こした場合には、自動車事故同様運転者に救護義務・報告義務が法律上定められていますので(道交法72条)、事故の被害者を救護した上、事故が生じたことを警察に報告するようにしてください。自転車事故の場合安易に考えてこれらの義務を果たさない例もありますが、法律違反であり罰則の適用の可能性があるばかりではなく、慰謝料の増額事由にもあたりえるところです。4 保険に入っておくこと 自転車による交通事故の場合で高額の損害賠償責任が問われうることは上記のとおりですが、万が一事故をおこした場合でも、保険加入をしておけば保険から賠償金を支払うことができます。自転車に自分や家族が乗る場合、自転車事故を対象とした個人賠償責任保険には必ず入っておくべきです。自動車保険で特約がつけられる場合もありますので、自分の保険の契約内容を一度確認することをお勧めいたします。
小学生児童の運転した自転車にはねられて寝たきりの状態になったとして、被害者の家族と保険会社が、児童の母親に損害賠償を求めた訴訟で、本年7月4日神戸地方裁判所が母親に計約9500万円の支払を命じた判決を言い渡したことが各種メディアで報道されております。
判決の事案については報道の限りでしかわかりませんので判決内容の当否自体はここでは書きませんが、一般論として自転車で交通事故を起こした場合も、自動車で事故を起こした場合と同様に高額の損害賠償責任が生じることはありえます。また自転車の場合自動車と違い子どもが乗ることも多いですが、上記判決のように、親権者が子どもが自転車を運転するにあたり必要な監督をしていなかったということで親が損害賠償責任を負うことも十分あり得ます。
また、自転車で交通事故を起こした場合には上記のような民事上の責任だけではなく、重過失致死傷罪等の刑事責任が問われることもありえます。
夏場には北海道でも自転車に乗る方も多く、ロードバイクでロングツーリングを楽しむため北海道を訪れる方も多くいらっしゃいます。ただ自転車は下り坂等では普通自動車並みの速度を出すこともできる危険性をはらんだ乗り物でありますので、交通ルールを守って事故を起こさないようにしていただきたいと思います。以下、自転車を乗るにあたり特に気をつけていただきたいことを書かせていただきます。
1 車道通行の際、左側通行の原則を守ること
自転車は「軽車両」として道路交通法の適用があり、原則として車道を通行する必要があります。そして車道を通行する場合には、道路の左側部分を通行しなければならないのはもちろんのこと、道路の左側端によって走る必要があります(道交法17条4項、同18条1項)。
車道を走る場合にも、車道の左側ではなく右側を逆走する自転車もみることがありますが、大変危険な行為なので車道の左側通行の原則を守るようにしてください。
2 歩道を通行できる場合でも安全に配慮すること
自転車は原則として車道を走る必要がありますが、道路標識で通行を認めている場合や運転者が児童及び幼児・70歳以上の者など車道通行が危険な場合等については例外として自転車で歩道を通行することができます(道交法63条の4)。ただしこの場合でも、自転車は歩道の車道よりの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げることとなる場合には一時停止する必要があります。
歩道を走る自転車と歩行者の交通事故は特に重大な結果につながりやすいので、歩道を自転車で走る場合には安全に十分配慮すべきです。
3 事故を起こした場合に救護義務・報告義務を果たすこと
万が一自転車で交通事故を起こした場合には、自動車事故同様運転者に救護義務・報告義務が法律上定められていますので(道交法72条)、事故の被害者を救護した上、事故が生じたことを警察に報告するようにしてください。自転車事故の場合安易に考えてこれらの義務を果たさない例もありますが、法律違反であり罰則の適用の可能性があるばかりではなく、慰謝料の増額事由にもあたりえるところです。
4 保険に入っておくこと
自転車による交通事故の場合で高額の損害賠償責任が問われうることは上記のとおりですが、万が一事故をおこした場合でも、保険加入をしておけば保険から賠償金を支払うことができます。自転車に自分や家族が乗る場合、自転車事故を対象とした個人賠償責任保険には必ず入っておくべきです。自動車保険で特約がつけられる場合もありますので、自分の保険の契約内容を一度確認することをお勧めいたします。