弁護士法人道北法律事務所(旭川・名寄)

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弁護士ブログ

債務整理の際にご注意いただきたいこと


私が名寄において仕事を初めてからそろそろ2年が経過しようとしておりますが、その間一番多く相談を受けたり受任をする事件は債務整理事件です。消費者金融等高金利の会社など複数の業者から借り入れを行った結果支払いが困難になった方から数多く相談を受けてきました。相談後受任をし、依頼者の代理人として各業者と和解を行ったり(任意整理)、破産や個人民事再生手続の申立をするなどしています。

名寄において目立つようになったのは、かつて他の実務家(弁護士・司法書士)に過払金返還請求の依頼を行い、実際に回収を行ってもらったものの、その後他の業者からの借金が支払いきれなくなった、という相談者です。

過払い金の回収については近時テレビ・ラジオ等でも宣伝するようになったのでご存知の方も多いかと思いますが、貸金業者が法律上(利息制限法)認められる利息を超えた利息で長期間貸し付けを行っていた時には、業者が逆に顧客に返還しなければならないお金(過払い金)が発生することがあります。この過払い金をきちんと回収することも債務整理ではとても重要なことです。しかし複数の業者との取引をしている場合、過払い金が発生しているばかりではなく、取引期間の短い業者などとの間では借金が残っていることはよくあります。この残債務がある業者との間でも、収入から支払える限度の分割支払の和解を行ったり、過払金を原資として一括支払いの和解を行うなどして、少しでも依頼者の経済的負担を少なくするというのが一般的な債務整理のやり方です。

ところが前記した相談者の方の場合、そもそも残債がある業者との間では実務家が受任しておらず、相談者の方が同じ条件で支払いを続けていました。そのまま支払いができていれば問題もなかったのかもしれませんが、もともと経済的苦境から多重債務に陥っていたのですから、今までと同じ条件では支払いを続けること自体が難しいということはあると思います。

また、私が名寄に来る前の相談者の方には、過払金が発生した当時においてその他の借金についても分割等の適切な和解をしていれば支払ができた可能性があったものの,残債のある業者についても受任した弁護士による和解がなされておらず、その後支払不能に陥ってしまい,結果破産を選択した方もいました。

日本弁護士連合会では、2011年2月に「債務整理事件処理の規律を定める規程」を定め、弁護士が債務整理を受任するにあたりルールを定めています。債務整理を行う一部の弁護士に不適切な業務を行う者がいることより、それを是正することを目的としたものです。このルールの中には、過払金返還請求の受任において弁護士が負うべき義務が次のように定められています。(日弁連のホームページに原文がPDFであります)。

「 弁護士は、債務者から過払金返還請求事件の依頼を受けるに当たっては、当該債務者が負担している他の債務の有無、内容及び件数を確認し、当該債務者が負担するすべての債務に関する事項を把握するように努める。債務者から過払金返還請求事件の依頼を受けて事件処理を行っている間に、当該債務者が他の債務を負担していると思料される事情があることを知ったときも、同様とする。」(規定8条1項)
「弁護士は、債務者が負担している他の債務があることを知りながら、当該他の債務についての債務整理事件の依頼を受けずに過払金返還請求事件のみの依頼を受けてはならない。ただし、弁護士が当該他の債務について債務整理を行わない場合に生じる可能性のある不利益について説明し、その説明を受けても当該債務者が当該他の債務についての債務整理事件を依頼することを希望せず、かつ、その理由が不当な目的に基づくものではないと認められるときは、この限りでない。」(規定8条2項)

すなわち、弁護士は過払金返還請求のつまみ食い(ほかに借金があるのに過払金だけを取り返して借金を整理しないこと)の依頼には原則として応じられないということです。前記のとおり、借金は全体として解決しなければ、その後残った借金が支払いできなくなり、債権者から裁判を起こされたり、給料・財産を差し押さえられるなど取り返しのつかないことも起こりうるからです。

上記のとおり、弁護士は過払金がある借金以外についても原則として依頼を受けるというルールがありますので、弁護士に相談する際にはすべての借金についてお話しした上、過払い金以外の借金についてどうするか説明を求めて頂きたいと思います。その上で、その弁護士に依頼するかしないかを決めることをお勧めいたします。

弁護士:大窪 和久
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